世界を代表する自動車メーカーであるトヨタ。2019年12月末現在、本社のある豊田市をはじめ、同じく愛知県内の碧南市、みよし市、田原市の10拠点に工場を構えています。ここでは、そのひとつである堤工場に関して、開設へと至った歴史的経緯を解説します。
1970年、堤工場が誕生
堤工場の歴史は1968年に遡ります。戦後の自動車の資本自由化を決める日米自動車交渉の真っ只中において、トヨタは月産10万台という目標を達成しました。その後、当時GMやフォードがすでに成し遂げていた年産200万台という量産体制を確立すべく、1970年1月、豊田市の本社工場からもほど近い堤町馬ノ頭に新たな工場を開設しました。ここから堤工場の歴史の幕開けとなります。
堤工場とは?
堤工場は元町工場、高岡工場に次ぐ第3の乗用車専門工場として、また本社工場と並ぶ機械加工・熱処理工場として、1970年に開設されました。開設当初は「セリカ」「カリーナ」の生産拠点として稼働していましたが、後に「カリーナ」の姉妹版である「セリカ・カムリ」のほか、「カムリ」「ビスタ」など、平成に入ってからは「レクサスES250」を生産開始しました。
現在は、トヨタのハイブリッド車「プリウス」「プリウスα」「プリウスPHV」のほかにも、「カムリ」、「プレミオ」、「アリオン」、「サイオンtC」などの車種を生産しています。
堤工場では環境保護活動にも力を注いでおり、1999年2月、リサイクルセンターを開設。同年10月には「埋立廃棄物ゼロ」を達成しました。さらに2018年、国内工場で最大規模の敷地面積を誇る「びおとーぷ堤」を開設し、翌年には企業の優れた環境経営の取り組みに対して贈られる「日本環境経営大賞」、国土交通大臣賞である「緑の都市賞」を授与しました。